円錐台形のカルトナージュ

コップやタンブラーの形を模した円錐台形のカルトナージュについてご紹介します。
「円錐台形」はカルトナージュの基本典型の一つとして発表(2011年)したもので、最近(2024年)は縦に変化する形として注目されており、作ってみたい形の一つになるでしょう。

Circular truncated cone-shaped/Tumbler-shaped

円錐台形

円錐台形は基底を作図するのではなく側面を展開図として広げる作図になり、二面図を作図した上で展開図として広げる作図になります。シンプルな形であるため旧版テキストには収録しましたが、新版『布箱の製図学』では外したため、今一度「円錐台」について述べておこうと思います。

正円形を基底にして円錐になることから「コーン形」としていましたが、円錐の途中を水平に切って円錐台にするため、口縁が広い筒状の器に象って「タンブラー」や「コップ」の形に例えるのが、カルトナージュのモチーフとして結びつくのではないかと思います。

ペーパーパッチド・タンブラー(2011年)

円錐台形をつくる技術

円錐台はシンプルな形ですが、作るとなると上手くいかない形のひとつになると思います。そこには、円錐台形をカルトナージュしていくための4つのポイントを整えておくことが大切です。

①円錐台形の図法には2種類ある?
円錐台の製図は「円錐台形の図法」を用いなければなりません。もちろん二面図(上面図と立面図)を作図できることが前提ですが、その上で円錐台形の図法には2種類あり、一つは円錐台は開いた扇形状の角度を求める図法、もう一つは扇形の円周長を求める図法です。基本的な形を作るのなら角度を求める図法でも十分ですが、複合的な製図をする場合には円周長を求める図法です。

②専門的なビームコンパスが必要
円錐台は斜倒立する側面から焦点を求めるため斜辺角に応じて遠焦点になることが多く、一般的なビームコンパス(最大開き幅27cm)では作図できない場合があります。円錐台を展開する場合には、開き幅が30cmを超えて作図できるビームコンパスを持っていることです。(洋裁コンパスなら開き幅が35cm

③紙管成形で仕上がりが変わる
タンブラーやコップを象る場合には、カルトンを筒状に成形しなければなりません。このような工程を紙管成形といいますが、円筒や円錐における紙管成形は縦紙管ではなく斜め紙管が有効な手法です。

④合紙ラウンドの手法
紙管成形にともなって、カルトンを曲げる場合には薄いカルトンを用いることが基本ですが、一般的なカルトナージュで求める芯材の厚みを元にして考えると巻くことが困難です。そこで薄いカルトンを用いますが、二重に巻いて貼り合わせる合紙ラウンドの手法を用います。これにより曲げやすく求める厚みにすることができます。ただし、内巻き用の製図と外巻き用の製図を分けることや、貼り合わせをズレなく適正に行うことが大切です。

左)縦紙管の展開図 右)斜め紙管の展開図