蓋や扉の開閉に用いるヒンジの手法
カルトナージュには、蓋箱と身箱を連結させたり扉を持った形態があります。中でもポピュラーなオルゴールタイプやブックタイプのカルトナージュでは、蓋や扉を開閉するヒンジを用います。
カルトナージュのヒンジとは?
一般にヒンジは「蝶番」(ちょうつがい)を指して呼びます。蝶番は自宅のドアの吊り込みや、木工家具等の扉や蓋を開閉させるための部品として馴染 みのあるものです。蝶番は建築や家具部材として、筐体との強度バランスをとった用い方をします。一般に大型の木工用金属部品になり、カルトナージュでは取り扱いにくいものですが、小型の種類の中には小箱用の飾り蝶番があり、一部カルトナージュでも用いることができます。
カルトナージュにおけるヒンジは蝶番という既製部品を用いるのではなく、箱を構造化していくときにカルトンとカルトンを布地でつないで支点となる部分を作り、その箱の一部が扉や蓋として開閉するようにした接合の状態をカルトナージュで作り出すことです。「ヒンジという手法を用いた」という意味において製函技術が伴うのです。ヒンジの手法は既製部品をカルトナージュに組み込むことではなく、あくまでもカルトナージュの手法として蝶番を用いずに、どのようにして回転軸を中心に折り曲げればよいかという組み立て手法を考えるものです。ヒンジの機能をどう実現するかがカルトナージュの手法になるわけですね。