タッセルフォームの基本
頂華飾りのシルエットを型にした「フォーム」と呼ばれる型芯について述べてみたいと思います。
伝統的なフォームの原形
フォームは“タッセルの「型」”というだけあって、いくつかの基本となる原形があります。ある意味で決まった形式や方法によって用いられてきたものなのかもしれませんが、伝統的な頂華飾りの原形は、森の果実(どんぐり、なつめ)や貝殻(巻き貝、ツノ貝)を形象したもので、中でも好まれて使われたのが洋梨の形です。
「フォーム」「モールド」「モジュール」
フィニアルに使われる芯材は、タッセルの意匠や形態に応じてさらに3つのカテゴリーに分けることができます。「フォーム」は、芯材の回りに糸や紐でカバーリングしてしまう用い方が基本ですが、芯材に直接彩色を施す「モールド」は芯材の素地を活かした使い方です。さらに、フィニアルのフォームを部位ごとに分けて装飾を凝らしていく「モジュール」は、頂華全体に模様や色をつけるのに対して、部品ごとに模様や色を変えて連続したフィニアルに組み立てる使い方をするのです。
スネイリングとストライピング
基本的なフォームには、糸や紐で全体を覆って縞模様をつける縦巻き用フォームと、紐をに渦巻状に巻いていく横巻き用フォームの2種類があります。
縦巻きと横巻きでは装飾する手法が異なり、糸や紐で渦を巻いて覆う“スネイリング”と、縦方向に縞模様(しまもよう)をつけて覆う“ストライピング”です。スネイリングとストライピングとでは、糸や紐の覆い方が違うためフォーム自体の形状も異なります。
スネイリングフォーム(横巻き用)
スネイリング用フォームは、周囲を螺旋状に巻けるようフォーム自体の幅が横方向に広がっていることが特徴です。また、糸より紐を巻きつけることに向くため、曲線で隆起した形状になります。
ストライピングフォーム(縦巻き用)
ストライピング用フォームは、縦方向に折り返しながら覆うため、フォームの中通し穴の両口に糸が集束するようリムが大きく広がっていることが特徴です。紐よりも糸を巻きつけることに向くため、繊細な糸色で彩色できスカートの糸流れにつながる表現ができます。
モールド(素地)
モールドは素地や形を活かしたフィニアルにするため、貝殻やビーズ、木や石といった実際の形をフィニアルとして飾りつける手法です。このモールドはタッセルフォームとしての形を継承したもので、装飾的なディテールが施されています。