艶美しいレーヨン刺しゅう糸

光沢のある人造繊維”光る糸”

レーヨン刺しゅう糸

1885年にフランスの化学者デ・シャルドネは、ルイ・パスツール研究所の所員として蚕の病気を研究しており、「絹に類似せる織物材料について」という研究論文を発表し、人造絹糸と呼ばれるレーヨンを開発しました。当時レーヨンの製品名を「アーティフィシャル・シルク」(工芸絹糸)と名付け、その後のレーヨン製法の開発は、ドイツ・イギリスにおいて発展していきました。
レーヨンの発明によって飾り房は特にスカート様式へ強く影響し、当時の飾り房職人は、新しく実用的で人工的な絹に見える繊維と新しい染色技術によって、今までにない房飾りの意匠性を見いだしたといわれます。レーヨンは、絹のような艶としなやかさを目標に創りだされた化学繊維ですが、レーヨンの主原料は木材パルプから作った再生セルロース繊維です。セルロース繊維は短いため、この短い繊維を光沢のある絹糸状の繊維にする製造技術の総称をビスコース(Viscose)と呼びます。手芸用レーヨン刺しゅう糸のラベル表記にビスコースと記されています。

レーヨンで考慮すべきポイント

光沢をもつ艶やかなレーヨンは、設え方次第で独特の艶が美しくサラサラと音を立てるスカートのドレープ感を演出することができます。レーヨンは最もポピュラーな化繊素材でしたが、レーヨンの特質上あまり好まれなかった部分があります。美しさの反対に糸質はあまり強くなく、伸び縮みし、シワになりやすく水洗いできない短所があります。
しなやかでサラッとしていますが、実際に束ねてみると意外と硬く重い糸です。ロングスカートなら、しっかりと垂れてスイングしてくれますが、短すぎると糸の硬さが目立ってくるためブラシのように立ってきます。糸の太さや糸量において、スカートサイズとのバランスを考慮しなくてはなりません。また、クセが強くシワになりやすく、雑な扱い方で放置すれば、必ず房の部分にシワクセが付いてしまいます。クセがつかないよう保管に気を使わなければなりません。

どう使う?タッセルの糸

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