パピエ・マシェStyle
18世紀から19世紀のヨーロッパにおいて、パピエ・マシェ(仏:Papier-mâché)とよばれる芯材(混凝紙:こんくりがみ)で作った箱に、絵付けをする工芸技法を紹介します。
Papier-mâché
「張り子」と訳されることもありますが、パピエ・マシェとは絵を描く基材(混凝紙:こんくりがみ)を指します。ボール紙の原料になる木材パルプチップを、オイル(亜麻仁油)に浸してオーブンで乾燥させ、圧縮して接着剤類で固めた独特の素材を基底材にして、直接絵付けをして工芸品として仕上げたものです。
当時は、カードやトランプ、タバコ入れ、キャッシュトレーや眼鏡ケースといった小間物製品に用いられていたそうです。フランスやドイツのアンティークな紙製人形のパピエ・マシェ・ドールや、イタリアはヴェネチアのマスケラ・カルネヴァーレの仮面等も、パピエ・マシェの工法と同じくするものです。
カルトナージュと同じ厚紙芯材を用いますが、パピエ・マシェは芯材の作られ方が違います。古代エジプトのカルトナージュ棺は、マシェの起源としても語られています。
カルトナージュの感性研究
マシェ材は紙を圧縮した成形品ですが、カルトナージュは圧縮したカルトンを組み立てていきます。そこで筆者の思索ではありますが、技法を組み合わせてカルトナージュの感性研究として創作した作品です。
このような愉しみ方もあると思っています。

パピエ・マシェスタイルのカルトナージュ
パピエ・マシェの風合いから発想した、カルトンで作った芯材にデコパージュで風合いを加えたカルトナージュケース(2012年)