マリナーズ・ノットの結び方
航海士の結び方を総称するマリナーズ・ノット(マリンノット)は、タッセルの首元をバインドした直下の房糸を、掛け結びするだけで、立体的で華やかな襟飾りの意匠に変化します。
結び目がブレイドのような起伏をつくることから「マリンブレイド・タッセル」(2015年)として発表したものですが、現在はセミフィニアル型ソフトタッセルや、3重の留め付け房(3サスペンド・ヘッド型)に応用するほうが効果的な意匠になるため、マリナーズ・ノットに改めて更新しておきます。
ソフトタッセルの襟飾りの手法
マリナーズ・ノットと呼ぶと語弊があるかもしれませんが、航海士結びの一種ではないかと考えています。ノットをつくる手法ではありますが、房糸を掛けて編んでいくような結び方です。スカートにする房糸の一部をマフラー巻きのように、襟周りを編んでいく演出方法です。


括り房(バインディング・ヘッド型)や留め付け房(サスペンド・ヘッド型)のワンピース型ソフトタッセルは、単調なシルエットになるため、首元をマリナーズ・ノットで結んでいくと、一定の角度で波形の結び目が起伏をつくり、スカートラインに沿って立体的な意匠を付け加えることができるのです。
マリナーズ・ノットの結び方・用い方
マリナーズ・ノットは、ネックを下巻きした上から留め上げるため、首元にホイッピングを用いません。そのため下巻き糸で実質的な結束をしなければなりません。巻き方は、下巻きした直下で糸の量や並び数を均等に分け、ひとまとまりにした房糸ごとに掛け目をつくり、そこに次の房糸を掛け通しながら周回していくのです。最後の房糸を巻き始めの掛け目に通して結び上げます。
