カルトナージュ製図Ⅲ〜お福箱の製図学
カルトナージュの製図が学べるシリーズ講座の第三巻目、『お福箱の製図学』を開講いたします。
大切にしたい“縁起の良いかたち”
『お福箱の製図学」は、題名のとおり“縁起の良い形”をテーマにした創作製図集です。収録した形と図法は、お祝いで使いたくなるモチーフと、和を象徴する花形をあわせた全26典型です。
暮らしを豊かにする“カルトナージュ”
製図Ⅰの『布箱の製図学』と製図Ⅱの『オーバルの製図学』は、カルトナージュに特化した製図の基本と応用を学ぶことでしたが、製図Ⅲ『お福箱の製図学』は、一年を通して祭事・行事・お祝い事に使える、縁起の良い“お福箱”をテーマにしています。それは、カルトナージュに触れたなら、日本のカルトナージュを作りたい思いと、カルトナージュを通して、これからも明るく発展していけるものを、暮らしの中に“縁起”として取り入れたかったからです。
本書には新しく“祝いの吉祥形”の製図法を軸に、贈り物に欠かせない“和の花形”を加えた新刊となっています。
形と形を組み合わせて使う
『お福箱の製図学』は、少しバラエティある内容になっていますが、製図法としての技術もⅠ・Ⅱから発展させています。単独のモチーフは、全て吉祥を由来とする形ですが、“松・竹・梅”のような縁起の集まりや、丸と千鳥で「丸千鳥形」など、特に形の組み合わせを意識して選んだモチーフばかりです。すでに発表している「横梅花形」も、オパール形と組み合わせられる図案になっています。
『お福箱の製図学』の図法
本書に収録した形の殆どが創作図案になるため、製図Ⅰの幾何図法や、製図Ⅱの心点図法を元に作図する手順から始まっています。応用技術を展開していく作図法が中心です。(本書には基礎図法の解説はありません。製図Ⅰ・製図Ⅱを参照する必要があります)
「そぎ竹」の形は、単独で使えるの?と思われるかもしれませんが、図法の用い方次第で「フレームのビゾーを円形で組み立てられる図法」として活用できます。「千両小判」は、オーバルの製図学に収録してもよい図法なんですが、本書のために作成したオーバル図法です。また、「花形」(五弁輪花形)を布箱の製図学に収録していますので、本書では新たに楕円花弁で作図する「花咲形」を作成しています。
これまでの形は置き型が殆どでしたが、モチーフにちなんだ形に応じて立て型でも使えるように考えたことも特色のひとつです。「寿松形」「そぎ竹形」「丸千鳥形」「幸桃形」「勝栗形」「だるま形」「めで鯛形」「大入形」などです。
布箱講座「かぼちゃ形」と「柊形」
既に公開している「かぼちゃ形」と「ひいらぎ形」ですが、どちらも縁起の形ですので、本書ではフル製図バージョンとして収録しています。特に「柊形」は、ひいらぎの葉辺が最も映える形になるよう「扁平八曲縁推台形」の展開製図法としてまとめたものです。「柊形」は、二等円楕円、正六角形、八角形、円錐台形の図法が複合した、カルトナージュ製図100典型目にあたる記念すべき図案・図法です。