布地を整えるヘラ掛け
カルトナージュは布地の仕上げにおいて、ヘラを押し付けたり添えたりして布地を均一にしながら意匠を美しく整えていきます。布地の仕上げに欠かせない「ヘラ」の用い方について述べておきます。
ヘラ掛けとは
「ヘラ」(篦)は、画材や文具、裁縫道具から調理器具、工具にまで様々な種類があります。カルトナージュで用いるヘラは、くるみ製本や革製本(パッセカルトン)で用いるものと同じものが使われています。中でもパッセカルトン用の角ベラ(つのべら)はカルトナージュの道具の中でも代表といえます。 ヘラは用途に応じて、印を付けたり押しあてたりする用い方をします。手製本の分野には、ヘラにまつわる独特の言い回しがあり、”折り、回し、返し、溝入れ”など、慣習に基づく道具立てと用い方に奥深さも感じます。
カルトナージュで行うヘラ掛け
折り | 布地に折り目をつけ、折り代を曲げて形を整える用い方。 |
返し | 布地を包む際に、折り代や巻き代を裏返する用い方。 |
巻き | 布地のくるみ角の処理や、芯材の角や隅にのり代を巻き込んだりする用い方。 |
押し込み | 折り代や巻き代の始末や、箱の隅へ詰め込んで隠したりする用い方。 |
差し込み | 折り代や巻き代では包めない箇所に、適度な隙間に差して挟んだりする用い方。 |
つぶし | 布地が重なり合った折り代や巻き代に、力を加えて平らに整える用い方。 |
ヘラの種類
カルトナージュよく使うヘラは、「角ベラ」や「スプーンベラ」が一般的です。布箱の作り方に照らして、自然と揃えられていく道具でもあります。角ベラは製本用途で、スプーンベラはアートクレイのモデリングに用いられているものです。どれもカルトナージュづくりに最適な形状であるということです。
私の用いるヘラには「角ベラ」「スプーンベラ」に加えて、「平ベラ」と「細密ベラ」をよく使用します。