カルトンを曲げる湿式成形法

カルトンを水分で湿らせて成形する湿式成形は、形に対するカルトンの曲げが強いときに水を含浸させて曲げやすくすることです。湿式成形後は型板で固定しておくと曲がったまま乾燥し曲(クセ)が付くのです。

カルトナージュの成形技術

カルトナージュの芯材を成形する技術には、形を維持する作り方、素材を成形する作り方、部品を接着する作り方があります。中でも曲線フォルムを持ったカルトナージュを作る場合には、曲線の形が維持できるようカルトンを曲げて固定しなければなりません。曲線の維持は接着して成形するのですが、芯材の曲げ自体は成形する前に行うのです。

カルトンはそのまま用いるのが通常ですから、大抵はそのまま曲がりやすい薄いカルトンを用いるのが一般的です。しかし、花形など一つのシェイプの中に複数の円弧が連なる場合は、直接カルトンを小さな円弧に曲げることが難しくなります。そこで、水分で湿らせたカルトンを用いて曲げやすくした後に成形していく逆の発想です。湿ったままのカルトンを曲げて固定しておき、曲がったまま乾燥させると曲(クセ)が付く、カルトンが反る性質を利用した方法です。

花鍔形の湿式成形例

カルトンに水を含浸させる
カルトンに水を含ませると紙の繊維が広がるため曲げやすくなります。その際、カルトンが反りやすい裏面に含浸させることが肝心です。水を過度に含ませすぎると接着しにくくなるので注意しておきましょう。
カルトンの接着と固定
含浸したカルトンは基底に添うよう曲げて接着しますが、反りの反発を抑えるためにマスキングテープで固定しておきます。
カルトンの曲げバランスをとる
カルトンを曲げて組み立てていく場合は、接合を均等にするために曲げバランスを取るよう必ず対角に組み立てていきます。
曲線の接合
曲げたカルトンどうしを接合するには、水貼りテープやクラフトテープなどで繋いでいきます。
接合後の成形
全ての曲面を接着し終えたも、曲げバランスは均等にはなりません。そこで、型板をはめ込んで形を整えるのです。その際、型板を嵌め込んだら曲げたカルトンの表面に再度水を含浸させて、形が均等に保持・成形できるよう輪ゴムで固定を行います。その形のまま乾燥させて曲げ成形のクセを均一につけます。

これで湿式成形は完了です。