タッセル&カルトナージュ「幸せの感嘆符」  Contemporary Japanese Tassel and Cartonnage
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和タッセル

Contemporary Japanese Design

『鎮める・治める・調和』

 タッセルの本質的な意味には、幸福な出来事を象徴するよう感心を集め、誉め讃える“感嘆”があります。タッセルの形は生活の調和を図り、過剰な欲や災いを治めるための『符』という、深い意味をたたえた造形だと考えています。日常の空間や時間の中で、タッセルの形は、優美な演出と装飾を表現するものですが、古来より受け継がれてきた『鎮める・治める・調和』を象徴する意味を持つものです。


日本の風習における房飾り

 わが国の房飾りは6世紀後半頃の、藤の木古墳(奈良県)から、円形飾り金具についた飾り房が埋葬儀礼品として出土されています。日本の風習では儀礼装飾や祭礼品としてよく目にすることがありますが、身近なもので、お祝いの水引が飾り房になっていたり、お寺のお坊さんの座布団の端に房飾りが付いていたり、数珠の装飾や人形装飾に用いられたりと、日本の房飾りは、房だけが単独にあるものではなく「結び」という意味が深く関わってくるのが特徴です。縁起・縁結び、おごそかな「礼節」につつまれます。
  愛媛県新居浜市には、船御幸(ふなみゆき)いう豊漁と海上安全を祈る祭りがあります。その他にも、瀬戸内海の沿岸地域や河川地域で行われている祭礼では、台船に乗せられた口屋太鼓台に、大人の背丈もある大きな房(ふさ)が、台のバランスをとるよう吊るされています。また、新居浜太鼓祭りとして毎年秋に豊年を感謝する祭りに使う太鼓台にも、同様の房がついています。この房は「雨を示す」(愛媛県 新居浜市HPより)とされます。飾り房が象徴するものは護符・保護への期待としてたたえているのだと考えられます。


「おもて成し」の形

 日本では「おもてなしの心」として馴染みの深い言葉ですが、客を手厚く取りはからう待遇のことです。ラッピング包装やオーナメントの飾り付けは、さらに日常生活の中にある「おもてなし」に通じるものがあります。
 最近では、インテリアやファッション雑貨のラッピング装飾に、小さな飾り房がついているものを見かけるようになりました。タッセル好きにとっては「おやっ!」と目を引きますが、タッセルに関心のない場合には、一つの飾りでしかないかもしれません。しかし、特別な「おもてなし」がされたようで、少しばかり良い気分になるのではないかと思います。ヨーロッパの雑貨屋さんでは、ルームフレグランスのラッピングに、タッセルを使って包装したものがありました。センスを感じさせるタッセルの用い方ですが、ただの商品陳列よりも目をひきます。“タッセル遣い”の現れとして、商品を届けるまでにたずさえる「おもて成し」を象徴するタッセルだと思います。


「しつらえ」の形

 タッセルを飾りつけることを「しつらえ(設え)」という言葉が適切です。しつらえとは、室内や庭園を飾りつける設備をすることを意味します。タッセルの伝統的な用い方は、室内や調度品を飾り付けることです。伝統的に住まいの中で飾り付ける背景から、家具を備えて豪華な住空間を設備することに、「しつらえ」という言葉が用いられています。
 タッセルで日常を心地よく演出することは、暮らしを豊かに快適に感じ取ることができるということです。室内装飾の歴史の中で小さな装飾品は、室内を豪奢に飾りたて、栄華を極めるためだけのものではありません。本質に調和をはかるためのものだからこそ「しつらえ」という言葉になぞらえることができます。豪奢に飾り立ててより良い気分になりすぎることを治めるという意味には、装飾価値に見合ったタッセルであり、その本質を端的にとらえた自然な形で表現することが、最もタッセルの美しさや考え方に、深く結びつくと気づきます。タッセルは、機能的な美しさよりも自然的な美しさとしての形に意味をもつのです。それゆえに、日本の文化として高めたいタッセルが『Contemporary Japanese Design』なのです。

編集履歴
第一版公開:2010.04.26
第二版公開:2010.06.07
第三版公開:2011.02.21
第四版公開:2015.08.08

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