カルトナージュのリペア

ビジネスカードフォルダーの修復

 カルトナージュで作った名刺入れの試作品が、突然のトラブルに見舞われました。カバンの中で水筒のお茶が漏れ、ズブ濡れになったとのこと。もちろん中身の名刺ごと水を被ってしまったというのです。せっかくのカルトナージュだけに何とか・・と、私の元に戻ってまいりました。

  • リペア

仕立ての破損状況
 水を随分と吸い込んだ状態で、外装の芯材カルトンはほとんどグニャグニャ、内部まで影響を及ぼしている状態です。表紙の接着剤が甘かった箇所のクロスが浮いてしまっています。しっかり接着剤を塗ったつもりでいても、このように現れてくるのだなと思いました。また、ベローズのスロットカバーは水濡れが集中し、部分的に剥がれています。水濡れを一旦乾燥させたため完全に反って剥がれたのでしょう。ポケットカバーは、しっかり付いてはいますが、そのまま乾燥して反ってしまい、端の部分から浮いて開いた状態です。ヒンジも伸びきってしまい、ぶよぶよになって固まっていました。
 全体が濡れ切った状態のカルトナージュを見る機会というものは、意図しない限りなかなかありません。幸いなことにヒンジ部分は全く浮きや剥がれがなく、その他化粧張りにおいても特に問題が見られ無かったことでした。そこで何とかリペアしてみよう!という訳です。

  • 布シワ
  • 布浮き

布地化粧の再現・修復
 フォルダーづくりは手順が複雑ですから、反ったカルトンからクロスを剥がして作り直すには、ちょっと無理があります。何とか外観から手入れして修復できないかを考えました。
 まず最初は、形の成形に於いて反った状態を元に戻す方法を取りました。次に表装クロスの浮きを元に戻すと同時に、ヒンジを元の型に形成し直しました。ベローズスロットやポケットカバーは、接着剤の修正を再度入れ直して元どおりに型づくりをし、ほぼ現状まで復帰させました。長い事使ってくれたせいか、シミもありますし、角も擦れています・・そこまではちょっと直せませんが、そうしてリペアしたカルトナージュです。リペア後の自然乾燥状態を保つかどうか一晩ほど待って、修正箇所に戻りが現れなかったことを確認してリペア終了しました。
 モニター用カルトナージュは、使い始めはヒンジが固いという感想ですが、使っていくうちに丁度良くなってきました。という報告をいただいています。リペア物は、リペア後でもスムーズに可動します。このリペア記事が、カルトナージュは作るだけではなく、その修理や手入れについてもある程度の方法論を持っておくと良いということを教えてくれています。

  • 定着
  • 圧着

編集履歴
第一版公開:2012.10.25
第二版公開:2016.02.20