フィックストップ

蓋の天板を側面にはめ込む成形法

 カルトナージュ製作で留意する部分の一つが「代(しろ)」処理です。カルトンで芯になる構造を組み立ててから布地を化粧張りする基本手法では、必ず巻き代や糊代が側面または底面に逃がすことになります。そのため裏打ちした化粧紙でカバーしています。特に天面の代処理は、天面か側面に逃がすかどうか仕上げ方を考えなければなりませんが、“貼り合わせた感”が現れてくるものです。それでも形やスタイルによっては裁ち代が目立たない仕立てにしたいモチーフがあります。
 フィックストップは、蓋面または底面を側面にはめ込む成形法です。一般紙器の曲面成形においてエッジをロールさせて天板や底板の止めに使っていることに着目し、カルトナージュに応用した手法です。フィックスは天板または底板が側面のエッジで止まるよう、側面の口縁に突起形状を作っておきます。突起させる材料は、通常は細く切ったカルトンを内周に貼りますが、糸を使用したこともあります。突起した部分は水貼りテープで下貼りして用います。また、予め芯材を全て組立てるのではなく、天板と側面とを別個に化粧したものを組み合わせる工程になります。

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フィックストップの効果・注意点
 フィックス仕上げを天面に用いた場合は、側面との接合部分にエッジが立ち上がるのが特徴です。底面に用いた場合は少し上げ底に仕上がります。フィックスされた天面または底面の固定や巻き代の隠しは、内装芯材が重要な役割を担います。主にフィックストップは、一体となった側面板を用いるサークル形やオーバル形の蓋や底の組み付けに向きます。通常ラウンド面の包みは、折り返し代を天面または側面に切り込みを入れて綴じていきますが、別体で処理するフィックスは、切り込みなしの「内返し」で巻き込んでいくため、天面・側面とも巻き代が表面に現れてきません。また天面にキルト芯を入れた膨らみの演出や、ハンドルやアクセサリー、ヒンジ部品の接合箇所の隠し処理等にも有用です。
 フィックスの難しい点は、別体で組み立てるために寸法誤差を考慮した設計をしなければなりません。設計を誤ると、化粧張りした最後に組み上がらない失敗をします。構造設計において布地を含んだみなし設計を詳細に行うことが重要です。

フィックストップの応用
 フィックストップを用いた事例です。通常のラウンド側面だけで天面をフィックスする方法。天面を活かした内装構造を仕立ててから、外装側面だけをスリーブさせてフィックスさせる方法。フィックスエッジを作らず、側面の内装面をストッパーとして仕立ててから、底面をはめ込むだけの方法。

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編集履歴
第一版公開:2011.09.27
第二版公開:2014.09.08