十花咲きそめる

季節の風物を愉しむ花の形

 カルトナージュで一際目立つシルエットは花形です。花形は、モチーフとなった花の名称を付けたり、形のシルエットと花色を結びつけたりして、できあがる形をイメージするとともに、四季折々の花色を感じとることができます。

日本の花形
 日本には古来より花を愛でる習慣がありました。飛鳥時代や平安時代より『万葉集』(759年)や『源氏物語』(1008年)には、人と花の交流を尊ぶ様や、和歌として詠まれたりしています。本阿弥光悦筆、伝俵屋宗達下絵の「金銀泥下絵色紙帖」(16世紀末〜17世紀初め/五島美術館蔵)には、文様化した「梅に波」「椿に雪」「柳と桜」「藤」「朝顔」「桔梗」「萩」「蔦」等が用いられています。江戸時代の後期から明治にかけては、古式ゆかしい季節の風物を取り入れたものとして、花を象った「花箱」が作られていました。梅や桜、桔梗の形を用いて、巾着や琴爪を入れる小箱にして、暮らしの中で愉しんできたのです。花々は、服飾や工芸、装飾・意匠において大変重要な象徴だったのです。

  • 花形

編集履歴
第一版公開:2016.03.23